2022年1月11日火曜日

(1)小規模水道事業は低効率で高料金

以前の記事で、現在の水道事業の欠点の1つとして、「低効率な小規模事業が多い」ことを挙げましたが、実際のデータを使って説明します。


1)整理したデータ
日本の水道事業の各種指標は、総務省のホームページにまとめられており、そのデータから分かりやすい指標を選択しました。

水道事業経営指標(令和元年

総務省データの規模区分に従って、給水人口別の事業体数、月当りの平均料金(円/20㎥)、施設利用率、有収率を下図にまとめました。

データのある上水道事業体数は合計1,252です。日本の人口が1.25億人ほどなので、平均的な規模は事業当り10万人程度です。

表1.給水人口規模別の料金、施設利用率、有収率


給水人口規模別の施設利用率、有収水率を下図にまとめました。事業体の規模が小さいほど、効率性が悪いことが明確です。

施設利用率(1日平均配水量/1日平均配水能力):値が小さい→不効率な施設設計・利用
有収水率(年間総有収水量/年間総配水量):値が小さい→漏水や未徴収料金が多い

図1.給水人口規模別の施設利用率、有収率


給水人口規模別の水道料金(月20㎥利用)は下図のとおりです。20㎥は、3人家族の平均的な月利用量です。事業規模が小さくなるに従い、料金は上昇しており、都・指定都市(2,637円)と5000~1万人都市(3,794円)では、44%もの差があります。
地方の小規模自治体がより効率性が低く、そのために住民はより多くの費用を負担しているということです。

図2.給水人口規模別の月当り平均料金(円/20㎥)

2)対策
個人的には、現在の事業規模は小さすぎるため、広域化により規模を拡大し、事業効率性向上を目指すことが必須だと考えます。
規模の小さい事業体が近隣の事業体と合併すれば、より施設や職員を有効に活用でき、事業効率が上昇すると期待されます。これにより、長期的には水道料金も値下がりします。

実際には組織の統合、水道料金の統一などで反対もあると思いますが、政治的なリーダーシップで推進するべきと思います。