お勧め度:★★★☆☆
分かりやすさ:★☆☆☆☆
専門性 :★★★★★
お勧め度:★★★☆☆
分かりやすさ:★☆☆☆☆
専門性 :★★★★★
分かりやすさ:★★☆☆☆
大阪等の事例が主になっていますが、俯瞰的な説明は少ない印象です。
対象読者は同じ立場の水道事業者向けという印象で、一般市民にとっては分かりにくく、不親切な気がしましたのでお勧め度は低くなっています。
お勧め度:★★★★★
分かりやすさ:★★★★★
専門性 :★★☆☆☆
一般の方にも分かりやすく、民営化についてもバランスのとれた記載に感じましたのでお勧め度を高くしました。
お勧め度:★★★★☆
分かりやすさ:★★★★★
専門性 :★★☆☆☆
回答:
コンセッション導入による業務効率化ですが、難しい問題で、必ずしも上がるとは言えません。
PPP事業(官民協力、コンセッションを含む)が始まった当初、「民間企業の運営により公共サービスの効率性が劇的に改善する」と信じられていました。この効率性の改善により、サービス向上や料金値下げといった成果が現われると言われていました。
しかしながら、専門家が水道コンセッションの過去事例を分析した結果、他分野と比べても失敗事例が多く、「効率性は必ずしも改善していない」という結論となっています。
まず水道事業の「効率性」を定義すること自体非常に難しいのですが、ここでは簡略化のため効率性を「事業成果/費用」と定義します。
日本の水道事業は世界的にも高い水準が確保されているため、事業成果を革新的に向上させることは難しく、効率性を上げるには分母である費用を下げることが目標となります。
事業にかかる費用は別の記事で説明しますが、人件費や投資費等、コンセッション導入で削減できる費用がある反面、入札準備の費用、融資の返済利子、配当等は増加します。
これらを詳しく計算すると、コンセッション導入で合計費用が増加する場合もあるため、自然に効率化するとは考えられず、導入する際には各種指標やそのモニタリング方法を慎重に検討するべきです。
民営化反対の際に、水が奪われる!と唱えられることがあります。ただ、本当に水を海外に奪っていくことは難しいですよね。このため、「水を国際政治に利用されないか」、それに「利益を外国企業に奪われないか」という2つの懸念と想定して返答します。
現在の日本の制度では応札者の国籍に制限を付けておらず、外国企業が水道コンセッションの受注者になる可能性があります。
「水を国際政治に利用されないか」という1つ目の懸念ですが、外国企業が水道事業を運営した場合ですが、水道事業の水源は国内にあるため、シンガポール等で発生した様な、水資源をめぐり国際政治に利用されることは有りません。
「利益を外国企業に奪われないか」という2つ目の懸念については、契約書の作りこみや運営時の規制が不充分だった場合、外国企業に過度の利益が独占され、住民や自治体が損失を被る恐れがあり注意が必要です。
過去にもボリビアやフィリピン等の途上国の過去事例では、フランスやイギリス等の外国企業が運営をすることが多く、後進国からの搾取であるとして大きな反対運動が起こりました。
ただしこの民間企業による搾取の問題は、外国企業のみではなく、国内企業が運営した場合でも起こりえる問題であり、国籍に過敏に反応することではないと思います。日本の商社も海外の水ビジネスに取り組んでいます。外国籍というだけで非難するのであれば、これらの日本の勝者も同じく非難されないと不公平ですよね。
コンセッション導入による成果は、官・民・市民の間でバランスよく配分されるべきであり、不備のない契約書の作成と、適正な運営管理を実施するための工夫や努力が不可欠です。
回答:
この質問は回答が大変難しいです。
非常時の対応は、公共機関(水道公社)とコンセッションを受注する民間企業のどちらがより適切に対応できるか現状では分かりません。
災害発生時、自治体職員の方が身を粉にして従事するイメージはありますが、職員数が少ない事業体もあり、民間企業の方が充分な体制をとることもできるかもしれません。
契約で工夫できる点としては、災害種別(洪水、地震、配管事故等)に対応策を策定し、官と民の役割分担を明確化しておく必要があります。更に、入札時の評価基準に緊急時の対応を含むことや、民間企業に損害最小化や断水期間減少のための経済的動機付けをする(一定の費用を負担させるなど)の工夫も効果的と言われています。
気候変動の影響も増す中、災害対策は進歩が続いている分野であり、各種事例が発生した場合、官民ともにどう対応し、何が正しかったのかといった教訓を積み上げていく必要があると考えます。
水道事業にコンセッションが導入され、民間企業が運営することになっても、通常運転時の安全性は確保されますので安心してください。過去事例を見ても、コンセッションにより水質が悪化したという報告は非常に少ないです。
その理由ですが、技術的な視点で言うと、近代水道において一定規模以上の浄水場では「急速ろか方式」と呼ばれる浄水方法が使われることがほとんどです。急速ろか方式の浄水技術は確立されており、適度な薬品注入(凝集剤、消毒剤)と適切な設備操作(薬品注入、水質モニタリング)を行っていれば、水質基準を下回ることは有りません。
経済的視点で見た場合ですが、実は浄水にかかる費用(薬品代、電気代)は10円/㎥程度と非常に安いため、民間企業に水質が悪化しても費用を減らそうという動機が生まれません。それでも水質悪化が心配な場合の対策ですが、コンセッション契約に水質基準に関するペナルティ支払(または報酬減額)を設定できれば、より確実に民間企業に水質改善の動機付けをすることも可能と考えます。
20年に渡り、海外の貧しい国々の水道開発に携わってきました。働いた国はアジア、中南米、アフリカ、東欧と20か国程度に渡ります。
早くから運営方式の重要性に気付き、修士課程、博士課程で水道民営化、コンセッション、アフェルマージュ等の水道事業契約を研究しました。
2019年から国内でもコンセッション方式(民営化と総称されることも多い)が適用できることになりましたが、国内では関連情報が不足していると感じます。
このため、海外で得た知識をもとに、本ページで中立的な情報を発信することで、少しでも建設的な議論ができる環境が整えばうれしく思います。
日本の水道事業は20年~30年の計画に基づく独立採算で実施されています。このため、コンセッション導入により即座に水道料金が上がるということは有りません。では長期的に見るとどうでしょうか?
日本の水道料金の将来予測を見ると、構造的に値上げが必要とされていますが、その主な理由は、「①更新費の増加」と「②少子化による需要減」です。これらはコンセッションの導入可否とは無関係ですので、別に議論される課題です。
コンセッション導入可否のみに注目すると、その目的は水道事業をより効率化することですので、期待どおりの結果に得られれば、長期的な料金値下げにつながります。
ただし、他国の事例等を研究すると、民間企業の適切な管理は簡単ではなく、逆に料金値上げやサービス低下となった事例もあるため、日本で導入する場合でも試行錯誤が必要になると思います。