2021年4月23日金曜日

「4. 世界の過去事例から学ぼう」目次

 ここでは私が現地調査した事例を含め、世界の過去事例を説明しています。

契約の仕組みや、規制方法、指標の推移など、エンジニアの視点に基づく分析を行っています。

(1)水道民営化に関する世界銀行の反省と方向転換

(2)ボリビア水紛争の事実(コチャバンバを訪問して)

(3)フランスの水道PPPの推移(コンセッション、アフェルマージュ)

(4)イギリスの水道民営化

(5)フィリピン、マニラ東西の上下水道コンセッション

(6)ボリビア、ラパスの上下水道コンセッション

(7)セネガル、ダカールの水道アフェルマージュ




(4)イギリスの水道民営化

ここでは、イギリスの水道民営化とPFIの経緯を整理してみます。

イギリスの水道民営化は1989年、サッチャー政権時に「小さな政府」を目指して実施されました。同時期に水道に限らず様々な分野で民営化がすすめられ、またインフラ事業への民間参入であるPFIも1992年以降に進められました。

水道民営化もPFIも実施から30年程経ち、その成果と副作用が分析され、最近は批判・見直しの動きが出てきています。民間運営は財務費用(配当、利子、役員報酬)が高いものの、公的運営と比べて効率化したかどうか不明であることが原因です。


1)水道民営化とPFIの経緯

1970~80年代「英国病」と呼ばれる公共サービス・財政悪化が進む
1973年:1600存在した上下水道事業体が、河川流域を元に全国で約10社に統合
1989年:サッチャー政権のもと、「小さな政府」「市場原理の尊重」を目指し、上下水道事業が民営化。電力・石油・ガス・電話/通信・空港等の産業も次々と民営化。
1992年:メージャー政権でPFI(Private Finance Initiative)が正式に導入。道路などのインフラ建設についても民間活用を進める施策。
2012年:PFIを改定し、より公的機関の参画を増やすPFI2が定義されるが、その後案件数は減少。
2018年~:PFI事業を実施してきたカリリオン社が破綻。PFIの成果に疑問を呈する世論が強まる。
~現在:現在の上下水道事業は計11社、水道事業計6社。OFWATが1989年より2019年まで6回のPrice Reviewを実施。

2)規制方法

イギリス水道の規制機関はOFWATが有名で、全国の水道事業の上下水道料金を規制しています。

OFWAT:1989年設立。水道料金・サービス水準を規制。5年ごとに各事業者の料金上限値を決定するPrice Reviewを、上下水道事業は計11社、水道事業計6社に対して実施。

DWI:水質を管理・モニタリング


3)政権交代による政策の変転(個人的な経験から)

イギリスには2008~2009年に1年間滞在しました。修士課程で民営化やPFIを勉強していたのですが、各クラスの講師が政策について自分の意見を述べることが新鮮でした。

大学院の「Project Finance」のクラスでは、PFI賛成派の男性講師がそのメリットを強調し、同じ日の「Public Management」のクラスでは逆にPFI反対派の女性講師が強く民営化を非難していました。

この状況で感じたのは、信頼できる情報をもとに、政策の議論をすることの重要性です。最近の民営化やPFIへの批判、パリでの再公営化などの動きは、こういった政策を議論する環境から作られていると感じます。日本の水道民営化についても、まず信頼できる情報共有、次にそれをオープンに議論する場の醸成が必要と考えます。


参考資料

2021年4月21日水曜日

(7)セネガル、ダカールの水道アフェルマージュ

ここでは私が現地調査した、西アフリカ、セネガルのアフェルマージュ契約について説明します。

(1)民間が投資義務を有しないアフェルマージュ方式を採用
(2)26年間のアフェルマージュ期間中重大な契約違反等発生せず、業務水準も改善

アフェルマージュ方式は、配管や水源開発は公が実施しており、投資に関わる財務費用が減少します。民間企業から見ると事業リスクが低下し、その結果契約条件に関わる官民の紛争事例も少ないです。

これらの利点から、国内でも活用を検討する価値があると思います。


経緯

1980年代: 西アフリカ諸国で水道事業のPPP導入が進む
~1996年: 水道事業はSONEES(水道公社)が実施。投資・管理不足で低いサービス水準
1996年: 政府は民間の実施範囲の大きいコンセッションを希望せず、アフェルマージュ方式を採用。SONES(規制機関)設立。SDE(Senegalese des Eaux、仏Saur系)社がアフェルマージュ業務開始(当初10年間)。下水道業務はONAS(公社)に移管。
1996~2019年: 10回のアフェルマージュ契約変更・延長により、SDEが26年間業務実施。業務水準は計画に近く改善し、水道民活事業の成功事例とされた。
2019年~: 再入札が実施され、アフェルマージュ実施企業がSDEよりSENEAU(仏スエズ系)に交代。


(1)民間は大規模投資義務を有しないアフェルマージュ方式を採用

セネガルでは1996年にPPP(官民連携)事業が開始されましたが、公共機関が資産保持する体制を政府が望んだため、完全民営化やコンセッション方式ではなく、アフェルマージュ方式が採用されました。

アフェルマージュの契約概要は「(6)水道事業のPPP方式の比較」で説明していますので参考にしてください。

2015年時点の契約内容は以下のとおりです。(契約変更で当初案より修正あり)

・MHA(水利・衛星省)、SONES(規制機関)、SDE(民間)1996年にアフェルマージュ契約を締結し、その後修正と延長により業務は2019年まで継続

SDEは料金徴収を含む運営維持管理、および一部の更新建設(1年間当り、100mm配管更新60km分、メーター交換20,000個、6,000戸接続)を実施。既存配管は合計約6000kmですので、60km分は%程度の非常に少ない割合です。

SONESが国際機関などからの資金を活用し、大規模投資(水源開発、施設拡張)を実施。一部、計画通り施設建設が実施されない事例も発生。

・SDEの報酬額は水道料金(約100円/㎥)の70-75%程度で、残りはSONESに返還。報酬額は徴収水量に比例(コンセッションの様に合計収入額ではない)。毎年、電気代・人件費などの物価上昇率が反映される。


(2)業務指標を見ると、比較的計画どおり業務内容が改善した

参考資料(JICA、2015)のデータでは、給水率や無収水率などの主要な事業指標が以下のとおり改善しています。

・給水率:70.3%(1996)→ 98.7%(2013)うち各戸接続88.5%
・浄水量:98.5 百万㎥(1996)→ 164.9 百万㎥(2014)
・無収水率:29.2%(1996)→ 20.2%(2014)

給水率が100%に近づいていますが、SDEの報酬が水量に比例しているため、貧困地域への給水拡大も嫌がらずに実施される仕組みとなっています。

アフェルマージュにより、民間の投資リスクが抑えられ、重大な官民間の係争は発生しませんでした。公社が大規模投資を管理していますが、アフリカ開銀などから金利の低い融資を調達でき、財務費用を低く抑えられたことも成功の理由と言われています。

長期間SDE社に業務委託している点に疑問が出され、競争入札が実施された結果、2019年からスエズ系のSENEAU社に業務が移管されました。

(写真:セネガル相撲をする子供たち、一部残る井戸利用)


参考資料

2021年4月15日木曜日

「1.水道民営化に関するQ&A」目次


はじめに、良くあるコンセッションにまつわる「6つの疑問・懸念点」について、回答を作成してみました。

過度な懸念と思われる点については、心配がいらない旨返答しています。一方、いくつかの質問については「現状ではわからない」と正直に回答をしています。

Q1. コンセッション(水道民営化)で水道料金が上がるって本当なの?

Q2. コンセッション(水道民営化)で飲み水の安全性が脅かされないの?

Q3. コンセッション(水道民営化)で災害時に充分な対応ができるの?

Q4. コンセッション(水道民営化)をすると海外企業に命の水を奪われるって本当?

Q5. コンセッション(水道民営化)で水道事業の効率性が上がるの?

Q6. 水道分野のコンセッション契約は失敗が多いって本当?

Q6. 水道分野のコンセッション契約は失敗が多いって本当?

はい、過去事例の分析結果より、水道分野の民営化(コンセッション)は他の分野と比べて失敗する割合が多いと言えます。

論文による研究結果ですが、中南米のコンセッション事業例約1000件を分析したところ、上下水道分野の失敗確率(大幅な契約変更が発生した確率)は、他分野平均よりも2.5倍ほど高くなりました。計量分析により、その原因を分析した結果、民間の投資義務や資金調達がある場合に失敗する確率が上がり、規制機関の能力が高いと逆に下がると分析されています。

※より良い論文などご存じでしたらコメントください。






1)上下水道コンセッションが失敗した割合

少し古いですが、Guash(2004年)は1985年から2000年にかけて中南米で実施された4分野(通信、電力、交通、上下水道)のコンセッション事業1000件の過去事例の研究を行い、論文をとりまとめました。

分析の結果、1000件中大幅な契約変更が行われた事例(失敗例)は全体で29.8%であり、そのうち上下水道分野の失敗割合が最も大きく74.4%(137案件中102件)となりました。事業開始から再契約までの期間も、4分野全体の平均2.2年に対し、上下水道分野は最も短期間の1.6年でした。

2)失敗の理由(要因分析)
事業が失敗した理由ですが、個別事例を分析するほか、多数のデータをもとに計量分析で求める方法があります。以下2つの論文結果をまとめますが、コンセッションが成功するには規制機関の能力向上と罰則強化などが効果があり、逆に民間の投資・資金調達が増えると失敗しやすいとの結果になっています。

Guash(2004)の論文では、水道分野を含むコンセッション事例942件に対し、計量分析により失敗(契約変更)の原因分析をしており、以下の条件で失敗が増減したと結論付けています。

失敗が増える条件民間投資義務あり、民間資金調達あり、選挙あり、経済危機の発生、料金のPrice Capあり
失敗が減る条件:規制機関あり、政治の品質が高い、汚職頻度が低い

Estacheら(2009)の論文では、中南米8か国の交通分野(道路、鉄道)96案件の計量分析を行い、失敗の増減する条件を以下と分析しています。

失敗が増える条件応札評価の条件が多い(契約が複雑化するため)
失敗が減る条件:規制機関の能力が高い、賄賂への罰則が高い










ここでは海外の論文をもとに原因などを整理しましたが、水道事業の特徴と、コンセッションによる難しさについては、「(1)水道事業の特徴、他の公共サービスとの違い」にまとめましたので参考にしてください。

参考資料

2021年4月7日水曜日

(3)フランスの水道PPPの推移(コンセッション、アフェルマージュ)

ここではフランスの水道事業の経緯や契約形態の概要を記載します。

フランスでは、昔から民間企業への水道事業の委託が実施が一般的であり、水道PPPの方式で知られるコンセッションやアフェルマージュは、フランスで実施されてきた方式です。

また、スエズ社やヴェオリア社といった水メジャーが形成され、一時期途上国の水道民営化(コンセッション)で大きな批判も受けました。途上国で失敗が続いたため、両社とも水道民営化については以前より消極的になっている印象です。

(多くの情報は、この資料に基づいて記載します。レビューも参考にしてください)


1)フランスの水道PPP事業の過去経緯

1778年:パリで初の民間水道企業であるパリ水道会社が設立される。
1832年:パリでコレラが発生。衛生・下水道の重要性が認知される。
1853年:ヴェオリアの前身、ジェネラル・デゾー社がリヨン市で業務開始
1860年:パリ市とジェネラル・デゾー社が50年のコンセッション(主に料金徴収業務)を開始。
1880年:スエズの前身、リオネーズ・デゾー・エ・ドゥレクレラージュ社がカンヌ市で業務開始
1985年:パリのコンセッション開始(セーヌ川を境に2分割し、パリ市とヴェオリア社、スエズ社系の会社が25年のアフェルマージュ契約を締結)
2010年:パリ(2地域)のコンセッションが終了し、再公営化

フランスでは1800年代後半から、主要な都市で民間企業の運営が始まっていました。このため、水メジャーとなったスエズ社やヴェオリア社は、100年以上の経験を有しています。

パリ市は古くから業務委託をしていますが、直近では1985年~2009年まで2分割した地域で、2社とアフェルマージュによる委託実施をしていました。建設発注方法や過度の利益確保などが批判され、2010年の契約終了を機に再公営化されました。


2)水道PPP事業の実施方式

コンセッション:公共調達法典で規定。報酬は水道料金。民間は料金徴収、維持管理、施設の建設・更新など水道事業の大部分の業務を実施。性能発注で実施され、事業期間は最長20年。

アフェルマージュ:アフェルマージュは法令上明確に定義されておらず、一般的な概念しかない。報酬は水道料金の一部として受領する。初期投資、大規模な建設投資は公が実施する。

※水道事業のPPP方式の比較は「水道事業のPPP方式の比較」で説明していますので参考にしてください。(上のフランスの定義と異なる点もあります)

適用される方式の人口割合:上水道事業のレジー(公営)とDSP(民間委託)の人口比は2015年時点で41%:59%とDSPが多い。DSPのうち、コンセッションとアフェルマージュの比率は、12%:88%とアフェルマージュが高いそうです。私も知りませんでしたが、フランスの水道事業は人口比で見たところ、アフェルマージュ方式によるサービス提供割合(52%=59%x88%)が最も大きくなっています。

3)料金政策

水道事業はフルコストリカバリー(料金で費用をまかなう)が基本です。一方、下水道事業は下水料金で半分程度賄い、残りの雨水排除などに対して補助金が支出されています。

公的運営(レジー)と民間運営(DSP)の平均料金を比べたところ、公的運営と比べて、民間による業務の上下水道料金が1割程度高くなっています。

平均上下水道料金の比較

i)公(レジー): 合計3.87Euro/㎥(上水1.93Euro/㎥、下水1.94Euro/㎥)

ii)民間(DSP):合計4.20Euro/㎥(上水2.09Euro/㎥、下水2.11Euro/㎥)

(2018年時点、税・補助金分も含む)

4)再公営化に関する意見

パリの再公営化について、少し前に話題になりました。「昔から実施しているフランスのパリ市でも水道民営化が失敗し、市民は再公営化を選択した」という内容です。配当や財務費用等が高く、そのために水道料金が高騰しているとの批判があり、民間企業が過剰な利益を上げることは大いに批判されるべきです。

ただし、フランスでは複数ある選択肢から最適と思われる方式を選んでいる状況であり、民間運営が致命的な事故を起こしたというわけではありません。各国の事例を見ても、公的機関の運営により非効率化される事例も多いため、一時的な感情論で批判するのではなく、技術・財務指標、料金改定などの推移を、10-20年かけて注意深く評価する必要があると思います。

資料:

フランスの上下水道経営―PPP・コンセッション・広域化から日本は何を考える(2020)




書籍レビュー:フランスの上下水道経営―PPP・コンセッション・広域化から日本は何を考える(2020)

お勧め度:★★★☆☆
分かりやすさ:★★★☆☆
専門性 :★★★★★

主にコンサルタントが記述した書籍です。フランスの水道事業の実施方法、契約内容、法制度、水メジャーの実態等が詳しく説明されています。

コンセッションだとかアフェルマージュといった水道PPPの方式は、フランスの実施方法がもとになっているのですが、詳細を詳しく説明した資料は少なく(英語で探せばあるのかもしれませんが)、個人的には大変勉強になりました。

ただ、コンサルタントが専門家向けに作成した書物であり、ある程度の知識がないと読解は難しい印象でした。このため、市民の方々へのお勧め度としては☆3としています。

個人的に勉強となった点は以下でした。

・日本の自治体に該当するコミューンが全国で3万5000もある。事業当りの平均人口は、水道で5500人、下水道で4400人と非常に少なく、専門的な会社に委託する下地があった。

・料金を元手に事業を運営するコンセッションとアフェルマージュがあるが、法令上はコンセッションで統一されている。アフェルマージュは法的に明確化されておらず、一般的な概念のみ存在している。

・上水道事業のレジー(公営)とDSP(民間委託)の人口比は2015年時点で41%:59%とDSPが多い。DSPのうち、コンセッションとアフェルマージュの比率は、12%:88%とアフェルマージュが高い。

・下水道のレジー(公営)とDSP(民間委託)の人口比は2016年時点でレジー60%、DSP40%と、レジーが多い。下水事業の財源は日本に近く、雨水排除や汚水処理の過半が補助金で賄われている。

2021年4月6日火曜日

(2)浜松市の下水道コンセッション(2018)

ここでは2018年に開始された、浜松の下水道コンセッションの概要をとりまとめます。

国内の下水道分野のコンセッション事例は今のところ、この1件のみです。

このコンセッションの主な特徴は以下のとおりです。

(1)民間の業務は限定的
(2)入札は価格点(運営権対価額)の影響も大きい総合評価方式
(3)運営権対価の1/4を初期払いとし、企業の途中退場を防ぐ


経緯

2011年~:事業の検討(2地区(舘山寺・湖東)を対象)
2013年~:事業の検討(西遠流域下水道を対象)
2015年:実施方針公表、マーケットサウンディング
2016年:募集要項公表、参加資格審査(2グループが選定される)
2017年:優先交渉権者の選定。ヴェオリアグループと日立グループが応札。企業選定は総合評価方式。
2018年:事業開始。20年の実施契約締結。
2019-21年:これまでのところ運営に問題はなさそうです。民間事業者のサイトに豊富なモニタリング結果が開示されています


(1)民間の業務は限定的

本コンセッション事業で民間の業務とされているのは、下図の西遠処理区の西遠浄化センター+2ポンプ場の維持管理です。敷設・更新費用の予測が難しい下水管は対象外であり、民間は埋設管の老朽化に関するリスクを有していません。

また民間の建設費、更新費の負担は全体の1/10とされています。下水道は上水道と異なり政府補助が得られ、市債で賄うことも許されているため、これらを考慮し民間の負担額が小さくなっています。

従って、一般的な維持管理契約との差異はそれほど大きくない印象です。大きな違いは、収入が下水道料金の23.8%と規定されているため、民間が収入リスクを負っていること、それと契約期間が20年に伸びたことでしょうか。

図 事業の対象施設(浜松市資料より)


(2)入札の審査は価格点(運営権対価額)の影響も大きい総合評価方式

入札選定は200点中、技術点160点、価格点40点の総合評価でした。技術点は安全性・地域の活性化・管理手法などが評価されています。価格点の割合(2割)だけ見ると影響が小さい印象ですが、評価結果(200点満点)を見ると、ヴェオリアグループ(148点)と日立グループ(111点)の差分は37点であり、そのうち価格点の差分が20点以上を占めています。従い、最終結果から見ると価格評価の影響が大きいことが分かります。

(評価結果から逆算すると、応札で提示された運営権対価額は、ヴェオリアグループが25億円、日立グループはおおよそその半額となります)

上水道事業では安全性がより重視されますが、下水道事業の健康被害は稀であり、価格(VGFや対価)重視という判断はもっともだと思います。


(3)運営権対価の1/4を初期払いとし、企業の途中退場を防ぐ

上で、運営権対価の金額の評価が大きいと書きましたが、その支払いは当初に全体の1/4を払い、残りの20年間で3/4を払う計画とされています。公表資料によると、早めに支出させることで企業の途中撤退を防いでいるとされています。

しかし企業から見ると、余分なお金を先に支払うことで財務状況が悪化しており、その分は費用が増加しているはずです。この条件設定によりどれほど撤退を阻止する効果があるのか分からないため、個人的に、この条件の可否については判断がつきません。

図 運営権対価の支払時期(公表資料より)









浜松市では下水道コンセッションは問題なく実施されたものの、続いて検討された上水道のコンセッションについては反対が強く、実施が断念されたそうです。直接飲用する上水道は、市民の方々が充分に納得しないと実施は難しいということが分かります。

参考リンク