ここでは私が現地調査した事例を含め、世界の過去事例を説明しています。
契約の仕組みや、規制方法、指標の推移など、エンジニアの視点に基づく分析を行っています。
(3)フランスの水道PPPの推移(コンセッション、アフェルマージュ)
ここでは私が現地調査した事例を含め、世界の過去事例を説明しています。
契約の仕組みや、規制方法、指標の推移など、エンジニアの視点に基づく分析を行っています。
(3)フランスの水道PPPの推移(コンセッション、アフェルマージュ)
過度な懸念と思われる点については、心配がいらない旨返答しています。一方、いくつかの質問については「現状ではわからない」と正直に回答をしています。
Q1. コンセッション(水道民営化)で水道料金が上がるって本当なの?
Q2. コンセッション(水道民営化)で飲み水の安全性が脅かされないの?
Q3. コンセッション(水道民営化)で災害時に充分な対応ができるの?
Q4. コンセッション(水道民営化)をすると海外企業に命の水を奪われるって本当?
はい、過去事例の分析結果より、水道分野の民営化(コンセッション)は他の分野と比べて失敗する割合が多いと言えます。
論文による研究結果ですが、中南米のコンセッション事業例約1000件を分析したところ、上下水道分野の失敗確率(大幅な契約変更が発生した確率)は、他分野平均よりも2.5倍ほど高くなりました。計量分析により、その原因を分析した結果、民間の投資義務や資金調達がある場合に失敗する確率が上がり、規制機関の能力が高いと逆に下がると分析されています。
※より良い論文などご存じでしたらコメントください。
1)上下水道コンセッションが失敗した割合
少し古いですが、Guash(2004年)は1985年から2000年にかけて中南米で実施された4分野(通信、電力、交通、上下水道)のコンセッション事業1000件の過去事例の研究を行い、論文をとりまとめました。
分析の結果、1000件中大幅な契約変更が行われた事例(失敗例)は全体で29.8%であり、そのうち上下水道分野の失敗割合が最も大きく74.4%(137案件中102件)となりました。事業開始から再契約までの期間も、4分野全体の平均2.2年に対し、上下水道分野は最も短期間の1.6年でした。
主にコンサルタントが記述した書籍です。フランスの水道事業の実施方法、契約内容、法制度、水メジャーの実態等が詳しく説明されています。
コンセッションだとかアフェルマージュといった水道PPPの方式は、フランスの実施方法がもとになっているのですが、詳細を詳しく説明した資料は少なく(英語で探せばあるのかもしれませんが)、個人的には大変勉強になりました。
ただ、コンサルタントが専門家向けに作成した書物であり、ある程度の知識がないと読解は難しい印象でした。このため、市民の方々へのお勧め度としては☆3としています。
個人的に勉強となった点は以下でした。
・日本の自治体に該当するコミューンが全国で3万5000もある。事業当りの平均人口は、水道で5500人、下水道で4400人と非常に少なく、専門的な会社に委託する下地があった。
・料金を元手に事業を運営するコンセッションとアフェルマージュがあるが、法令上はコンセッションで統一されている。アフェルマージュは法的に明確化されておらず、一般的な概念のみ存在している。
・上水道事業のレジー(公営)とDSP(民間委託)の人口比は2015年時点で41%:59%とDSPが多い。DSPのうち、コンセッションとアフェルマージュの比率は、12%:88%とアフェルマージュが高い。
・下水道のレジー(公営)とDSP(民間委託)の人口比は2016年時点でレジー60%、DSP40%と、レジーが多い。下水事業の財源は日本に近く、雨水排除や汚水処理の過半が補助金で賄われている。
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