2024年8月29日木曜日

書籍「よくわかる水道民営化」を出版しました

このブログに書き溜めた内容を元に、書籍「よくわかる水道民営化」を発売することができました。

市民の方々が、水道民営化の知識を深めることができれば幸いです。

Amazonで購入:「よくわかる水道民営化

楽天ブックスで購入:「よくわかる水道民営化

大学の教授、応援してくれた友人達に深く感謝いたします。

書籍の感想、質問など有りましたら、コメントお願い致します。

(説明や数値など修正・推敲しましたので、元の記事は非開示とさせて頂きました)


2023年5月26日金曜日

目次:よくわかる水道民営化(基本から他国事例まで)



6. 公共水道の課題

(1)低効率な小規模事業が多い/(2)施設の老朽化と更新費増加/(3)災害時の安全性の低下


7. 提案・時事


8. 結婚生活に喩えてみた水道コンセッション事業

(1)婚活期間(事業形成~契約)/(2)夢見た結婚生活(事業の運営)/(3)離婚する?しない?(事業の失敗)/(4)添い遂げるためのアドバイス(事業成功のために)


2021年10月4日月曜日

マニラで見た上下水道コンセッションの現状(2021年)

現在(2021年10月)、フィリピンのマニラ出張中です。せっかくなので、コンセッションが行われているマニラ上下水道事業の状況を整理してみます。

水質や料金徴収は適切に運営・管理されている印象でしたが、下水配管の損傷事故を見つけました。老朽管の更新は費用が高く、日本でも問題となっており、民間企業に任せるか否か、その場合どう管理していくのかを検討する必要が有ります。


1.良好な水道水質

写真(左)はホテルの蛇口から汲んだ水道水です。見た目きれいで、変な匂いも無く、東京の水道水とも変わらない印象です。途上国のコンセッションで水質に問題が生じる事例は少なく、マニラでも同様です。

ホテルには飲用のボトルも設置されていました(写真右)。途上国では水質が悪い地域も多く、飲用水の配布ビジネスが成立しています。

写真:蛇口からの水(左)、ホテルの飲料水ボトル(右)


2.整備された給水メーター

滞在ホテルの近所で家庭・店舗用の給水メーターの写真を撮りました。盤面も綺麗ですし、ゲージで囲まれたメーターもあります。仕事でアジア、アフリカ、中南米と回りましたが、途上国でこれだけ整備された給水メーターを見ることは有りません。

コンセッション契約では水道料金が直接民間企業の収入となるため、メーターの設置/整備が良好に保たれます。これはコンセッション導入のメリットのひとつで、水道事業の財務安定性に寄与します。

写真:近所の給水メーター(左・中・右)


3.課題の残る下水管整備・更新

職場近くで、下水管・マンホールの損傷による、道路冠水箇所を見つけました。ホテルやオフィスの並ぶエリアですが、道路横断も困難で、臭いも生じていました。1週間後も工事は終わらず同じ状況でした。

上下水道事業は配管施設の占める費用が大きく、古い管の更新業務は後回しにされがちです。日本のコンセッションでも、配管整備・更新をどう管理していくかが課題となっています。

写真:下水管損傷による道路冠水(左)、補修工事用機械(右)


4.上下水道コンセッションの概要

フィリピンの首都マニラでは、1997年より地域を2分割し、別々の民間会社に上下水道の投資と運営を任せています。今回滞在したホテル・オフィスは、マニラ西側の上下水道を運営するマニラッド社の給水エリアでした。コンセッションの経緯や特徴は、以前の記事でも整理しているので、読んでみてください。

マニラウォーター社HP (マニラ東側の運営・管理)
MWSS(規制機関、市レベルで設立)

2021年8月24日火曜日

目次:結婚生活に喩える水道コンセッション事業

皆さんは水道事業へ適用される「コンセッション契約」の内容や手順をご存じでしょうか?

このブログでは、水道コンセッション契約の概要を「3.契約概要」に整理しました。ただ、専門的すぎて理解が難しいので、もっと簡単に知ってもらいたく、普通の生活で経験する事柄になぞらえて説明してみます。

実際に皆さんが経験したことがある契約というと、雇用契約、賃貸契約、ローン契約などが有ると思いますが、それよりも一般常識や社会ルールに則って実施される「結婚生活」が最も類似点が多いのではないかと思います。







結婚とコンセッション契約が似ていると感じる理由は以下のとおりです。

1)期間が長い

結婚期間は添い遂げたとして50年程(男性初婚年齢31歳~平均寿命81歳)。水道コンセッションの契約期間は、当初2530年で、更に契約延長される事例が多いです。

2)性格の違う2人の共同生活

結婚生活は、性別も性格も異なる2人が生活を共にします。水道コンセッションは「社会厚生の最大化」を目的とする公と、「企業利益の最大化」を目指す企業が協働することになります。

3)離婚割合が高い

日本の離婚割合はここ20年ほど、35%と高く推移しています。上下水道分野のコンセッション契約は、他分野に比べ当初の契約条件が変更された割合が多いです(通信、電力、交通と比べて失敗割合が2.5倍)


結婚生活とコンセッション契約の手順の比較は以下です。

結婚生活:「出会・婚約」→「結婚生活」→「添い遂げる/離婚」

契約進捗:「業者選定」→「業務実施」→「契約の成功/破綻」


ではそれぞれのプロセスごとに説明してみましょう。

1.婚活期間(事業形成から契約まで)

2.夢見た結婚生活(水道コンセッション事業の運営)

3.離婚する?しない?(水道コンセッション事業の失敗)

4.添い遂げるためのアドバイス(水道コンセッション成功のために)

4.添い遂げるためのアドバイス(水道コンセッション成功のために)

ここまで、水道コンセッション事業を結婚生活になぞらえて説明してきました。ここでは、結論として、結婚(水道コンセッション事業)を失敗しないための方策を示したいと思います。

1. 家族の調和を目指そう(官・民・市民のバランス確保)
2. 夫婦喧嘩は客観的評価で解決(NPOや規制機関のチェックが重要)
3. 夫に頼りすぎず、共働きを目指したら?(アフェルマージュの活用)


1. 家族の調和を目指そう(官・民・市民のバランス確保)

結婚生活を円満に送るには、家族皆の満足度が大事です。夫の収入が増えた場合でも、誰かが独り占めしては不和が起こります。余裕ができた分は、夫婦、子供、親族で公平に活用しましょう。

水道コンセッションでは、目的の異なる多くの関係者が存在します。社会サービス向上を目指す市や県、利益確保を目指す民間企業、料金低下を期待する住民。事業実施により効率化が果たされたとして、その利益をどこかが独占したら、公平性が失われ、その事業は失敗します。このため、充分な情報開示とともに、公平に利益を共有できる仕組みづくりが重要です。

2. 夫婦喧嘩は客観的評価で解決(NPOや規制機関のチェックが重要)

夫婦間で不満をたまることも有ると思います。偏った考えで相手を批判しない様に、客観的な評価をしてくれる友人や親族を持つことが大切です。喧嘩が激化してしまった場合は、専門のカウンセラーや弁護士に相談相談することが解決の近道です。

水道コンセッションでは、当事者である公共機関と民間企業の他に、客観的な評価を実施できる団体の活動が重要と思います。現在民営化が進められている事業は、 NPOなどが県や市の動きを注視しています。市民はその活動を応援し、長期的な視点で関わっていくことが大事です。また、イギリスのOFWATの様に、国レベルで水道民営化の是非を管理・規制する専門機関創設の必要性も感じます。

※各国の規制機関の概要は別記事で整理しようと思います



3. 夫に頼りすぎず、共働きを目指したら?(アフェルマージュの活用)

収入減が1つだと倒産や病気への対処が難しく、結婚生活が安定しません。このため、夫婦で仕事も家事も分担し、共働きで稼いでいくことがお勧めです。高度成長期は専業主婦家庭が多かったですが、近年は共働きの家庭が増加傾向にあります(リンク1)。総収入も専業主婦世帯より共働き世帯の方が高いです(リンク2)

海外の水道事業では、「大部分の業務を民間に任せるコンセッション」が多く導入されてきました。しかしながら、コンセッションは資金調達費用が高く、配管投資の管理が難しいというデメリットがあります。このため、失敗事例も多く、「官民で役割分担するアフェルマージュ」が見直されてきました(過去の記事)。アフェルマージュ方式は公共が配管施設の投資と運営を受け持つため、事業破綻のリスクを減らすと期待されます。

みやぎコンセッション事業は公共が配管投資・管理を行っており、アフェルマージュ方式が採用されています。

2021年8月11日水曜日

3.離婚する?しない?(水道コンセッション事業の失敗)

コンセッション事業を結婚生活になぞらえて説明する試みですが、今回3つ目の記事となりました。「1.婚活期間(事業形成から契約まで)」の記事で、お見合い・婚約手続きを説明しました。続く「2.夢見た結婚生活(コンセッション事業の運営)」では、結婚生活でのルール・情報共有などを説明しました。

「1.」「2.」に成功し、思い描いた結婚生活が送れれば最高です。しかし今回は、結婚相手が家事をしてくれないとか、浮気が発覚するなど、結婚制度(コンセッション事業)がうまく行かない場合を説明したいと思います。




・微細なルール違反(業務改善要求)

結婚生活のルールが有りますが、約束していた家事をさぼるとか、子供の面倒を見ずに遊びに行ってしまうなど、相手が約束違反をすることが有ります。これらの違反が加速したり継続した場合、相手に指摘して行動を改善してもらう必要があります。

水道コンセッションでは、日常的な運用指標(水量、水質、水圧等)や、定期的に計測する技術指標(漏水量、施設更新数等)が定められています。また、事故や災害時の断水時間等も記録されます。これらの指標が満たされない場合、公共機関は民間企業に警告を発し、企業は真摯に対応(改善計画提出、行動是正等)する必要があります。警告しても業務が改善されなかった場合、契約に従って罰金を課したり、公共が介入し対策費用をを民間に負わせることになります。

(参考)(5)水道事業の成果

・致命的なルール違反(早期契約解除)

浮気など、結婚生活で重大な違反があった場合、正式に離婚をし、民法に従って違反を犯した側から慰謝料を取ることも可能です。

水道コンセッションでは、契約の早期終了条件が設定されています。運営に重要な瑕疵が発生したり、コンセッションフィーが支払われない場合(民間側の違反)、公共が契約終了を申し出ます。一方、公共が保証すると決まっていた法的リスクが発現したり、政治的に契約が破棄された場合(公共側の違反)、民間が終了を申し出ます。どちらの場合も、契約違反した側が費用を支払う義務があります。政治的な再公営化された事例で、この補償金の多寡が問題になる場合もあります。






・意見の食い違い(調停・仲裁手続き)

相手の過失を責めて改善を促しても、相手が意見に納得しないことがあります。その場合、第三者に評価してもらうことが重要です。一般的には、まず仲のいい友人、信頼できる親族等に相談します。慰謝料や親権に関わるより深刻な状況であれば、家庭裁判所などを活用することになります。

公共と企業の協議ですが、相互の話し合いで解決することができれば、時間も費用も最も少なくなります。しかしながら、両者が同意できない場合、両者の選定した調停人により仲裁の作業を行います。それでも解決しない場合、協議は裁判所の調停手続きとなることが普通です。国によっては、国際調停となり、海外で実施され、判決まで数年かかることもあります。(みやぎコンセッションでは第一審は仙台地方裁判所と規定しています)

(参考)(9)運営期間中に官民が対立した場合の解決方法


・無駄になる費用(契約破綻による社会的損失)

離婚の障害となるのは、それまでにかかった費用です。結婚紹介所に払った100万円、結婚式に平均360万円程(ゼクシィ、2020)かかっていますが、離婚したらこれが無駄になります。このため、誰でもできるだけ離婚は避けたいと考えます。引っ越しや再就職等、金銭に換算できない労力も増えます。

水道コンセッションでも、運営方法移行に伴う各種費用が、再公営化の心理的な障害となります。事業開始時に、調査・契約作業に数千から数億の費用がかかっています(宮城県では計4億円以上)。一度コンセッションとなった事業を再公営化する場合ですが、一日でも公共サービスを止めることはできないため、事前に職員を採用したり、技術的な引継ぎも発生し、もともと不要であった費用が多く発生します。また、政治的な理由で契約期間中に再公営化された場合、契約違反として補償金がかかる場合もあります。


実質的な結婚生活の破たん?(コンセッションを人質にする企業)

社会的費用や社会的ステータス、子供がいるなど、なかなか離婚に踏み切れない夫婦も多いと思います。きつく注意できないのを良いことに好き放題する相手の場合、離婚していなくても、結婚は失敗だったと言えるのではないでしょうか。

同じことが水道コンセッションにも当てはまります。一度契約され、運営開始されると、水道事業はその地域で競合となる会社が存在せず、独占的なモノポリーとなります。公共としても多額の調査費用を出しており、再公営化に追加的な費用もかかるため、よほどの過失がない限り、契約期間である20~30年の事業が継続することになります。この期間中に企業に有利な契約変更・計画変更が行われることも多く、結果的に企業が不当な利益を手にします。当然、目的とした事業効率化や費用削減ができず、後から評価したら、公共のまま続けていた方が良かったとなる可能性が有ります。

ではどうしたら失敗を防げるのでしょうか・・・



2021年8月5日木曜日

2.夢見た結婚生活(水道コンセッション事業の運営)

結婚という社会的な仕組みに置き換えて、水道コンセッション契約を説明する試みですが、ここでは結婚後の結婚生活(事業契約と運営)を説明してみます。







- 結婚生活開始に際して - 

・結婚生活の計画・目標設定(事業計画策定)

長い結婚生活のおおよその計画を立てて、二人でそれを目指します。数年内に子供を作り、5年以内に持ち家に引っ越したい。お金に余裕があれば高校から私立に入れる。退社後は田舎でゆっくり過ごしたい。といった感じでしょうか。

水道コンセッションでは、契約前に事業計画が策定され、それが守られることが原則です。事業期間中(20-30年)の出費である、運営費用、設備投資、更新費なども予測値が決められています。

・結婚生活の役割分担(業務の割振)

結婚生活の役割分担についても決めます。2人の勤務体系や希望によって、妻が専業主婦か、共働きするのか、今の時代夫が専業主夫でも問題はありません。

水道事業のPPPでは、官・民それぞれの役割が明確に決められます。一般的なコンセッションでは、企業が大部分の業務を実施します。アフェルマージュ(コンセッションの一形態)では、公共機関と企業が役割を分配します。このため、コンセッションは、夫が働いて妻が専業主婦をする家庭、アフェルマージュは共働き家庭に似ているでしょうか。

参考:(6)水道事業のPPP方式の比較

・2人の目的を一致させる(経済合理性を考慮した契約設計)

夫婦2人は価値感が違うので、生活のルール作りも必要になります。週末1日は夫婦一緒に過ごすとか、夕食は家族一緒にとるといった決まりが、夫婦円満に効果がありそうです。約束違反は罰金だとか、出世したらお小遣いUPなどのルールも、よい良い案かもしれません。

水道コンセッション事業では、公社と企業の目的は異なっています。公社の目標は「適正な水道サービスの提供」であり、対する民間企業の目的は「利益追求」です。2者の目標は異なるため、公社は契約において、企業が目的とする金銭的な利益を、社会的な利益と一致させる「経済的動機付け」と呼ばれる作業を行います。具体的には計画よりも漏水が減ったら報酬を出す、水質が規定より悪化したら罰金を課すといったルール作りで、契約期間中それを守らせます。

※実際には企業へ罰則を科すことは難しいのですが、それは別に記載します。







- 結婚生活中 - 

・充分な情報共有(官民の情報交換)

夫婦は、日ごろから情報や将来の希望を共有しておくことが重要です。健康状態や会社の勤務状況、収入額などを必要なだけ共有しましょう。

公社は企業に長期目標を伝えます。民間企業は公社に毎月・毎年する書類が決められています。施設の運営データや水質・水量データは毎月提出、財務諸表や資産情報、建設図面等を毎年提出することが普通です。また契約期間中の財務・技術計画についても定期的に見直しを行います。

※交渉を有利に進めるため、企業は情報を隠す傾向が有り、詳細は別に記載します。

・定期的な生活設計修正(事業計画の定期的な修正)

長く生活していく中で、子供の数、両親の健康状態、労働環境などなど、色々な変化が生じます。その時々の状況に合わせて、夫婦の目標や計画を変更していきます。また自身の病気や失職などの危機的な状況が発生すれば、大幅な計画修正を余儀なくされます。

水道コンセッションでは、おおよそ5年ごとの計画変更が義務付けられています。住民の居住地域、サービス人口、配管の老朽度など、当初計画時に全ての条件を見通すことが不可能であることが、定期的な計画修正の理由です。この見直し作業は、1年程度の時間をかけ、官民間で複数回の協議と資料のやりとりが実施されます。また経済危機や災害など、事業運営に大きなインパクトを与える事象が生じた場合も、計画の見直しが実施されます。

2021年6月21日月曜日

1. 婚活期間(水道コンセッション事業の事業形成から契約まで)

結婚という社会的な仕組みに置き換えて、水道コンセッション契約を説明する試みですが、ここでは相手募集から婚約まで(事業形成から契約まで)を説明してみます。

性別は、仮に女性=公的機関男性=民間企業、出会う方法は費用のかかる結婚紹介所とします。婚約または契約までの手順、期間、費用は、以下のとおりです。




A:紹介所婚活の場合

手順:1)結婚相手募集→2)結婚生活の条件提示→3)相手の意見を反映→4)結婚相手選定→5)親族への紹介
期間・費用:大手結婚紹介会社IBJ社の費用を見たところ、2年程活動した場合、計100万円程かかる様でした。(入会22万円+活動費1.7万円/月+成婚料22万円+イベント参加・諸経費)

B:水道コンセッションの場合(厚労省資料、12ページの一部)

手順:1)調査結果の公表→2) 実施方針・募集要項等公表→3)競争的対話→4)優先交渉権者の選定→5)議会の承認
期間・費用:PFI法の規定に基づいた手続きが必要であり、事業確認の調査から契約まで、3~5年はかかる様です。費用も総額で数千~数億円といった規模に達します。

例として、宮城県の水道コンセッションでは、事前調査と契約までの業務支援に4億円以上の費用がかかっています。

・導入可能性調査(総研)4,320万円(2018年7月に調査結果公表)
・デューデリ調査(監査法人)6,813万円(2018年7月に調査結果公表)
・事業実施の支援業務(監査法人)2億9,900万円(2019年2月に発注、業務中)










(1)結婚相手募集(調査結果の公表)

女性がまじめな結婚を目指し、結婚紹介所に登録します。はじめに自己分析や自己紹介が必要となり、婚活アドバイザーの意見に従って、プロカメラマンに依頼して清楚な服装で紹介写真を撮り、趣味、学歴、長所、相手のタイプなどを記載して、魅力をアピールします。

水道コンセッション事業の場合でも、県や市の契約相手となる民間企業に事業の存在と魅力を伝える必要が有ります。まず事業の内容を調査し、事業の方針、収益性、リスクなどを開示します。分析・評価に技術・財務・法務の専門知識が必要なので、県や市から、数千万円の費用でコンサルタントや監査法人に発注されます。

(2)結婚生活の条件提示(実施方針・募集要項等公表)

自己紹介を実施し、興味を持った男性から連絡がありました。お見合いやデート、メールのやりとりを通して、「どういった結婚生活を求めているのか」を詳しく伝える必要が有ります。明確にする内容は、以下でしょうか。
・将来のスケジュール(結婚時期、出産・子育て、引退・老後)
・2人の役割分担・ルール(家事の割振、居住環境、旅行回数、同居家族、喧嘩の解決方法)
・家計の管理方法(専業主婦/共働き、想定年収、家計の管理方法、費用の分担)

水道コンセッションの契約開始から終了までの条件を、事業工程表、契約書案、選定基準などを公表資料で開示します。各書類について、応札企業者から質問を受け、回答・説明を実施します。
・事業スケジュール(契約期間・年数、投資目標、終了時期、契約延長条件)
・契約内容の明確化(官民の役割分担、実施対象地域・施設、報酬/罰則規定)
・収入・支出の条件(料金表・改定方法、料金徴収方法、負担費用の割振)

(3)意見を汲んで計画修正(競争的対話)

相手に理想の結婚生活は説明できましたが、高望みばかりすると婚期を逃します。逆に安売りして条件の悪い男につかまると、後から後悔します。また「海外赴任についてこない?」
など、思いつかない提案があるかもしれません。このため、候補者や相談所アドバイザー、友人などに意見を聞き、魅力的な女性は強気に(そうでない女性はそれなりに)結婚生活の希望条件を修正します。

海外のPPP事業(PFI・コンセッション等)で、契約条件が厳しすぎて1社も応札しないとか、逆に企業が儲けすぎて後から住民から非難される事例が頻出しました。発注者の思いつかない革新的な改善方法も提案されるかもしれません。このため、多くの国で発注者と応札者が正式な入札前に意見交換し、契約条件を適正化(強化/緩和)することが必須化されています。日本のPFI法で「競争的対話」と呼ばれる手続きであり、応札者の意見を参考に契約案や選定基準等が修正されます。



(4)結婚相手の選定(優先交渉権者の選定)

何人かの男性からプロポーズされ、女性はその中から1人を選定します。完璧な男性は存在しないので、何を優先するか決め、それに沿って評価しましょう。長い時間一緒に過ごすことになるので、年収よりも一緒にいて楽しい、思いやりがあって逆境に強い、といった長所を評価するべきかもしれません。

水道コンセッションでは、競争環境が保持され、複数の企業グループが事業に応札します。各グループは水道料金の他、投資計画、将来目標、財務計算書などを提出します。この内容を読み込み、様々な視点(技術、財務、安全性)で審査し、最も優れた提案書を出した企業グループを選定し、契約に進みます。

2020年に開示された宮城県の選定基準は、200点中技術評価160点、財務評価40点とされました。技術評価は実施方針、実施体制、運転管理、モニタリング、危機管理など10項目の基準で採点されました。結果として、応札した3グループ中1グループが失格、残り2グループからメタウォーターグループが選定されました(参考資料)。

(5)親族への紹介(議会の承認)

結婚すると家族通しの付き合いとなるので、良い相手を見つけることができたら、両親や親族に正式に紹介し、結婚の了承を得ます。

水道コンセッション契約には、県や市の議会に説明し、運営権設定(コンセッション事業)の承認を受ける必要があります。