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2024年8月29日木曜日

書籍「よくわかる水道民営化」を出版しました

このブログに書き溜めた内容を元に、書籍「よくわかる水道民営化」を発売することができました。

市民の方々が、水道民営化の知識を深めることができれば幸いです。

Amazonで購入:「よくわかる水道民営化」

楽天ブックスで購入:「よくわかる水道民営化」

大学の教授、応援してくれた友人達に深く感謝いたします。

書籍の感想、質問など有りましたら、コメントお願い致します。

(説明や数値など修正・推敲しましたので、元の記事は非開示とさせて頂きました)


2021年6月9日水曜日

書籍レビュー:クレイジーで行こう!


お勧め度:★★★☆☆
分かりやすさ:★★★★☆
専門性 :★★☆☆☆

AI(人工知能)分析により水道管の管路老朽化情報を分析する、Fracta社の創設者の著作です。最近では上下水道を含むインフラの計画・設計にAI技術が用いられるようになってきているため、その技術的な内容に興味を持って読みはじました。

記載内容ですが、技術内容の詳しい記載は少なく、アメリカでの新規ビジネス立ち上げの活動記録が主でした。
著者はロボット開発の会社をGoogleに売却した経験があります。この延長として、当初水道管内を検査するロボットに作成と事業化を試みていました。しかし、アメリカの水道事業者と協議していくうちに、今後は老朽管の検査・分析業務がより重要であることに気付き、そのためのAIプログラムを作成するというビジネスに切り替えたそうです。
結局、AI分析で事業を進めるFracta社は、浄水事業・設備建設などを実施している栗田工業の出資を受けることになり、安定した事業を続けることになったとのこと。

「日本の水道の技術力を海外に」という目標は謳われていますが、政府支援がないとなかなか実現できない状況なので、ビジネスでそれを成立させている行動力が印象的でした。

本書籍は、水道関係者というより、アメリカや日本の新規ビジネスを取り巻く状況を知りたい方にお勧めのです。このため、水道の知識向上を目指す本ブログでのお勧め度は低めの★3つとしています。


エンジニアの視点としては、アメリカや日本などの先進国での配管投資管理の重要性が再認識されました(参考:配管費用の割合が大きい)。また、以下の点が気になりましたので、別の機会に勉強していこうと思います。

・通常のデータ分析と、Fracta社のAI分析(アメリカ、日本の過去データ利用)でどの程度制度の差があるのか
・老朽管の更新期間を延長することができるのか。また更新費用にどの程度インパクトがあるのか。
・水道事業体(またはコンセッショネア)から、どういった契約(成果、報酬)で業務を受けるのか。


参考リンク:

2021年4月7日水曜日

書籍レビュー:フランスの上下水道経営―PPP・コンセッション・広域化から日本は何を考える(2020)

お勧め度:★★★☆☆
分かりやすさ:★★★☆☆
専門性 :★★★★★

主にコンサルタントが記述した書籍です。フランスの水道事業の実施方法、契約内容、法制度、水メジャーの実態等が詳しく説明されています。

コンセッションだとかアフェルマージュといった水道PPPの方式は、フランスの実施方法がもとになっているのですが、詳細を詳しく説明した資料は少なく(英語で探せばあるのかもしれませんが)、個人的には大変勉強になりました。

ただ、コンサルタントが専門家向けに作成した書物であり、ある程度の知識がないと読解は難しい印象でした。このため、市民の方々へのお勧め度としては☆3としています。

個人的に勉強となった点は以下でした。

・日本の自治体に該当するコミューンが全国で3万5000もある。事業当りの平均人口は、水道で5500人、下水道で4400人と非常に少なく、専門的な会社に委託する下地があった。

・料金を元手に事業を運営するコンセッションとアフェルマージュがあるが、法令上はコンセッションで統一されている。アフェルマージュは法的に明確化されておらず、一般的な概念のみ存在している。

・上水道事業のレジー(公営)とDSP(民間委託)の人口比は2015年時点で41%:59%とDSPが多い。DSPのうち、コンセッションとアフェルマージュの比率は、12%:88%とアフェルマージュが高い。

・下水道のレジー(公営)とDSP(民間委託)の人口比は2016年時点でレジー60%、DSP40%と、レジーが多い。下水事業の財源は日本に近く、雨水排除や汚水処理の過半が補助金で賄われている。

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2021年3月21日日曜日

都市水道事業の官民連携(2012、世界銀行が民営化の失敗を認めたレポート)

都市水道事業の官民連携 (和訳版、世界銀行、フィリップマリン、2012)
Public-PrivatePartnershipsfor Urban WaterUtilities: A Review of Experiences inDeveloping Countries(英語オリジナル、2009)

お勧め度:★★★★★
分かりやすさ:★★★★☆
専門性 :★★★★☆

世界銀行やIMGは1990年代頃から、各国にコンセッション契約を薦めてきました。しかしながら、その後失敗事例が続出したため、2009年に上のレポートを公表しました。

世界の主要な水道PPP事業64件(うちコンセッション36件)の分析の結果、民間の役割の大きいコンセッションが必ずしも水道事業の最適なスキームではないと結論付けています。

主な分析結果は以下のとおりです。

「分析結果要約」

1)給水普及率の向上:コンセッション契約により給水人口は増加したが、当初の目標が達成していない事例も多い。公的資金を補てんした事業においてより成功している。アフェルマージュはコンセッションよりも概して良好な業績を示している。

2)給水サービスのレベル:一部例外はあるが、PPP導入により給水制限が大幅に減少し、給水サービスは向上した。

3)経営効率:損失水、料金徴収率、労働生産性の3指標は、どれも大幅に改善した。事業収入に直結するため、PPP導入は経営効率改善に最も効果がある。投資効率の改善については情報が入手できず評価不可。

4)料金水準:当初、低料金で開始した事業が失敗した事例が多い。時間の経過により料金値上げされた事例もあるが、その妥当性については評価不可。

文章が多いですが、和訳版も無料ですし、読了をお勧めします。

料金水準、接続数、無収水率などの技術・財務的な指標の推移が記録されていて分かりやすいです。私も、コンセッションの成否は、これら指標を、計画値と比較することで判断するべきと考えます。

2021年2月12日金曜日

書籍レビュー:新しい上下水道事業 再構築と産業化(2018)

お勧め度:★★★☆☆

分かりやすさ:★☆☆☆☆

専門性 :★★★★★

完結に書くと、「勉強になりました」という感想です。
業界トップの大学や水コンサルタント、会計士が章ごとに担当して記述されています。
完全に専門家向け、その中でも新しい技術や政策を考えている人向けの本ですので、一般の方には難しいと思います。
話題はPPP(民間)のみではなく、国内上下水道の課題解決が目的でした。
PPPについては、推進側の方々の提言となっていますが、コンセッションに対する賛成意見は控えている印象でした。

2021年2月11日木曜日

書籍レビュー:水道、再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと(2020)


お勧め度:★★★☆☆

分かりやすさ:★★★☆☆

専門性 :★★☆☆☆

書籍レビュー:水道の民営化・広域化を考える(2019)



お勧め度:★☆☆☆☆

分かりやすさ:★★☆☆☆

専門性 :★★★☆☆

筆者は既存の水道事業者からの方々で、基本的に民営化反対の論調です。

大阪等の事例が主になっていますが、俯瞰的な説明は少ない印象です。

対象読者は同じ立場の水道事業者向けという印象で、一般市民にとっては分かりにくく、不親切な気がしましたのでお勧め度は低くなっています。

書籍レビュー:日本の水道をどうする!?: 民営化か公共の再生か(2019)


お勧め度:★★★★★

分かりやすさ:★★★★★

専門性 :★★☆☆☆

一般の方にも分かりやすく、民営化についてもバランスのとれた記載に感じましたのでお勧め度を高くしました。

議論が無いままのコンセッション導入を批判し、NGOやジャーナリストの意見を幅広く取り入れ、総括的な記述がなされている印象でした。

書籍レビュー:水道民営化で水はどうなるのか(2019)


お勧め度:★★★★☆

分かりやすさ:★★★★★

専門性 :★★☆☆☆

多国の例などを元に、拙速な水道民営化に疑問を呈しています。
現在の国内水道事業の課題についても記載されており、一般の方にも分かりやすいです。
バランスが良いと感じましたが、コンセッション自体に関する詳しい記載(契約内容、財務分析等)等はありませんでした。