2021年6月9日水曜日

書籍レビュー:クレイジーで行こう!


お勧め度:★★★☆☆
分かりやすさ:★★★★☆
専門性 :★★☆☆☆

AI(人工知能)分析により水道管の管路老朽化情報を分析する、Fracta社の創設者の著作です。最近では上下水道を含むインフラの計画・設計にAI技術が用いられるようになってきているため、その技術的な内容に興味を持って読みはじました。

記載内容ですが、技術内容の詳しい記載は少なく、アメリカでの新規ビジネス立ち上げの活動記録が主でした。
著者はロボット開発の会社をGoogleに売却した経験があります。この延長として、当初水道管内を検査するロボットに作成と事業化を試みていました。しかし、アメリカの水道事業者と協議していくうちに、今後は老朽管の検査・分析業務がより重要であることに気付き、そのためのAIプログラムを作成するというビジネスに切り替えたそうです。
結局、AI分析で事業を進めるFracta社は、浄水事業・設備建設などを実施している栗田工業の出資を受けることになり、安定した事業を続けることになったとのこと。

「日本の水道の技術力を海外に」という目標は謳われていますが、政府支援がないとなかなか実現できない状況なので、ビジネスでそれを成立させている行動力が印象的でした。

本書籍は、水道関係者というより、アメリカや日本の新規ビジネスを取り巻く状況を知りたい方にお勧めのです。このため、水道の知識向上を目指す本ブログでのお勧め度は低めの★3つとしています。


エンジニアの視点としては、アメリカや日本などの先進国での配管投資管理の重要性が再認識されました(参考:配管費用の割合が大きい)。また、以下の点が気になりましたので、別の機会に勉強していこうと思います。

・通常のデータ分析と、Fracta社のAI分析(アメリカ、日本の過去データ利用)でどの程度制度の差があるのか
・老朽管の更新期間を延長することができるのか。また更新費用にどの程度インパクトがあるのか。
・水道事業体(またはコンセッショネア)から、どういった契約(成果、報酬)で業務を受けるのか。


参考リンク:

0 件のコメント:

コメントを投稿