図 コンセッション契約の業務とお金の流れ
コンセッション契約の作業とお金のフローを、上の図に整理してみました。
契約期間:
コンセッション契約は、既往の水道事業実施者と民間企業の間で、25年から30年の期間を対象として締結されます。長期となる理由は、施設の投資活動もコンセッショネアの役割とされており、その費用を回収に長期間の契約期間が必要とされているためです。
施設利用:
水道事業者が保有していた既往資産は。契約期間中民間企業に貸与され、サービス実施に活用されます。契約期間中は規制機関がサービス成果をモニタリングし、計画どおり実施されていない場合は民間企業への業務是正勧告や、罰則の適用等を実施します。
SPCとお金の流れ:
事業を実施する民間企業はコンセッショネアと呼ばれ、一般的に事業開始時に複数の企業が出資するSPC(特別目的会社)として組織されることが多いです。規制機関に対しては、定期的に事業成果を報告し、また過去の借入返済や規制業務費用に活用されるコンセッションフィー等と呼ばれる費用の支払を実施します。住民への上水道サービス提供は基本的にコンセッショネアが実施し、住民からの料金回収も行います。
SPCの資金調達方法:
コンセッショネアは既往施設の維持管理と新規施設の建設・維持管理を実施しますが、その資金は投資家からの出資、および金融機関からの融資で賄います。これら資金に対し、コンセッショネアは契約期間中の収入を元に、配当供与と借入返済を行っていきます。
更に、以下に一般的な水道コンセッション事業の契約概要を整理します。ここでは概要飲み示し、細かい点は別の場所で説明していきます。
表 コンセッション契約の一般条件
コンセッショネアの義務 | 料金徴収、施設維持管理、浄水場等の運転管理、新規エリアへのサービス拡張等投資、コンセッションフィーの支払い |
契約期間 | 25~30年程度 |
入札条件 | 最も安い水道料金提案者、または最も大きい投資を約束した会社、その他総合評価方式も |
投資行動の条件設定 | 新規接続、新規水源開発、漏水対策等の投資目標を数値目標(建設数量または金額)で示す |
運営指標 | 水質条件、水圧、給水時間、給水率、NRW率、投資計画・金額、住民の満足度等の指標が規定される(目標の上下により、報酬・罰則設定も可能) |
コンセッショネアの収入 | 水道事業の全体収入(水道料金収入、接続費収入、下水道料金等)、そのうち、規定されたコンセッションフィーを規制(公的)機関に支払う |
水道料金の改定方法 | 毎年の改定は物価上昇率等を元に自動更新 5年毎に事業費用と収入を見直し、コンセッショネアの利益を上乗せして料金を決定する。 |
コンセッショネアの支払費用 | ・サービスの運転・維持管理費用 ・施設拡張のための投資費用(水源開発、配管敷設、配水池等の施設全て) ・財務費用(借入返済、利子) ・税金(法人税、消費税等) ・規制機関に支払うコンセッションフィー ・投資家への適切な利益配分(配当) |
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