ここでは水道コンセッション事業の入札方式について記載します。
「入札公示」→「事前審査」→「競争入札」
入札手続きですが、まず公的機関が入札実施を公示します。次に興味を示した会社に対しPre Qualification(事前審査)が実施され、経験や能力のない会社は排除されます。その後、応札が認められた企業グループ数社で、競争入札が実施されることが一般的です。
入札の判断基準ですが、分かりやすい以下の方法が選択されていました。
1)最小の水道料金価格を応札させる(投資額や目標値は決まっている)
2)最大の投資額を応札させる(料金水準は決まっている)
当然ながら、1)であれば料金低減が最終目標で、2)であれば投資拡充が契約の目標とされているわけです。
総合評価方式であれば、これらに加え、技術的な内容なども加味されます。技術点と価格点の配分なども重要ですね。
確認のため、世界銀行が作成している、世界各国のPPP事業の事例情報をとりまとめたPPIデータを参考にしてみましょう。
PPI (Private Participation in Infrastructure) data
上のサイトから、「Water Utility」の分野を選ぶと、2021年2月時点で482件ありました。その中で、Tender Criteriaの記載がある案件は合計110でした。内訳は以下のとおりです。
選定方法1. 料金水準(最小) 55件
選定方法2. 建設費または運営費用(最小)20件
選定方法3. 政府への支払額(最大)16件
選定方法4. 新規投資額(最大)7件
選定方法5. 政府の支払額(最小)4件
選定方法6. 政府から受領する補助金額(最小)4件
上の項目を整理すると・・・
(1)直接的な水道料金や建設費などの最小化(選定方法1.2.3.):91件
(2)政府へ支払い最大、または政府からの補助金最小(選定方法3.5.):20件
(3)投資額最大(選定方法4.のみ):7件
このように、直接的な料金や費用の低減を狙った場合(1)が最も多く、続いて政府支援の最小化(2)、最後に建設投資の最大化(3)となっています。
1つの数値だけで勝ち負けを判断することはシンプルで分かりやすいのですが、それによる過去の失敗事例もあり、現在は技術的な面も考慮する総合入札方式が多くなっている様子です。
失敗の事例などは別の章で・・・
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