コンセッション契約により民間企業が水道事業運営をする場合の、メリットとデメリットを以下にまとめました。ここでは一般的な項目を挙げました。
(1)水道事業の効率化、(2)事業の透明性向上
(1)利益優先によるサービス悪化、(2)将来的な料金値上げ
〇メリット1:水道事業の効率化
市町村や水道公社による運営ですが、経済性よりも安全性を重視し、不効率な運営がされているという批判があります。また中小規模の事業では人材・知識不足により、最新技術を活かした運営ができません。
民間企業が計画・運営することで業務を適正化したり、最新の技術を導入し、事業運営が効率化されると期待されています。なお効率化により生じた時間やお金は、顧客満足度向上、安全性向上、料金値下げ等に活用されることが理想です。
〇メリット2:事業の透明性向上
入札によりコンセッション契約が実施され、より良い提案をした企業が勝者となります。その際、今後の計画や料金等が比較され選択されます。また契約期間中、運営企業は定期的な事業報告(技術・財務指標)が求められ、これにより市民にとって事業の透明性が向上すると考えられます。
×デメリット1:利益優先によるサービス悪化
水道事業は参入費用が高いことから、交通機関や携帯電話などのインフラと異なり、競合となる会社が現れず、モノポリー(独占)状態となります。この状態を、専門用語では自然独占(Narutal Monopoly)と呼びます。
市場に競争が発生しないため、民間企業がコンセッション契約を勝ち取った後、利益を増やすために、投資を抑えたり顧客対応を怠ることで、サービス水準や安全性が悪化する恐れがあります。
発注者や規制機関が、罰則等を課して事業実施をコントロールすることが理想ですが、事業期間も長く、必ずしも計画どおり行くとは言えません。
×デメリット2:将来的な料金値上げ
民間企業が運営を行うことで、追加的な費用がかかることがあります。例を挙げると、入札・契約のための調査・準備費用、資金調達費の増加、投資家への配当支払発生などです。
民間の運営により業務効率化が図られたとしても、その改善効果よりも費用増加の悪影響が上回った場合、収支が悪化し、結果的に水道料金が値上げされる恐れがあります。
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