Public-PrivatePartnershipsfor Urban WaterUtilities: A Review of Experiences inDeveloping Countries(英語オリジナル、2009)
分かりやすさ:★★★★☆
専門性 :★★★★☆
世界銀行やIMGは1990年代頃から、各国にコンセッション契約を薦めてきました。しかしながら、その後失敗事例が続出したため、2009年に上のレポートを公表しました。
世界の主要な水道PPP事業64件(うちコンセッション36件)の分析の結果、民間の役割の大きいコンセッションが必ずしも水道事業の最適なスキームではないと結論付けています。
主な分析結果は以下のとおりです。
「分析結果要約」
1)給水普及率の向上:コンセッション契約により給水人口は増加したが、当初の目標が達成していない事例も多い。公的資金を補てんした事業においてより成功している。アフェルマージュはコンセッションよりも概して良好な業績を示している。
2)給水サービスのレベル:一部例外はあるが、PPP導入により給水制限が大幅に減少し、給水サービスは向上した。
3)経営効率:損失水、料金徴収率、労働生産性の3指標は、どれも大幅に改善した。事業収入に直結するため、PPP導入は経営効率改善に最も効果がある。投資効率の改善については情報が入手できず評価不可。
4)料金水準:当初、低料金で開始した事業が失敗した事例が多い。時間の経過により料金値上げされた事例もあるが、その妥当性については評価不可。
文章が多いですが、和訳版も無料ですし、読了をお勧めします。
料金水準、接続数、無収水率などの技術・財務的な指標の推移が記録されていて分かりやすいです。私も、コンセッションの成否は、これら指標を、計画値と比較することで判断するべきと考えます。